わかちあいプロジェクト

有機栽培とフェアトレード

ダージリン紅茶の茶摘(インド北東)日本では有機栽培(オーガニック)の普及とフェアトレードの運動は直接関係ないように思われていますが、実はフェアトレードの運動が有機栽培の運動を生み出してきたと言うことができます。

わかちあいプロジェクトのフェアトレードへの取り組みは、1992年8月にスリランカの有機・オーガニック紅茶を輸入することから始まりました。当時は有機栽培はまだめずらしく、 コクのある紅茶として皆様に大変好評をいただいております。この有機栽培の紅茶は、1987年、世界で最初に有機認証を得たイダルガセナ茶園のものです。 (イダルガセナ紅茶園レポート(2006/8)へ)有機栽培は、ドイツのフェアトレード団体、GEPAの協力の下に技術指導がなされました。

その後、GEPAから紹介していただいたメキシコ産のオーガニックコーヒーを第一コーヒー㈱が輸入してくださり、フェアトレードラベル認証にこぎつけました。そうして日本で最初のフェアトレード・ラベル認証オーガニックコーヒーであるメキシコ・チアパス州のカフェ・マムが1993年3月に発売されました。現在でも一番人気のオーガニックコーヒーです。当時はオーガニックコーヒーは少なく、日本で有機コーヒーをリードしてきました。

スリランカ産有機フェアトレード紅茶ウバ(2006年ラベル) cafemam_original

有機(オーガニック)認証

環境問題や健康に対する感心が深まるにつれて、有機農法(無農薬、有機肥料)が関心を集めています。ドイツで開催されるBioFach(ビオファ)や、アメリカのNatural Products Expoなどのオーガニック商品の展示会・見本市では、年々多くの出展者・バイヤーが集まり、世界各地で有機栽培された商品が取引されています。

日本では、農林水産省の定める有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを、登録認定機関が検査し、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。 有機食品の検査認証制度(農林水産省)

わかちあいプロジェクトでは、有機農産物及び有機農産物加工食品の検査認証制度に則って、一部のコーヒーや紅茶にJASマークを付けていますが、中には有機栽培でも認証を得ていない商品もあります。JAS認証を受けていなく、海外の有機認定団体の認証を受けているものについては、その有機認証名を記載しています。


■ 有機農産物の日本農林規格

第2条有機農産物は、次のいずれかに従い生産することとする。
農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力(きのこ類の生産にあっては農林産物に由来する生産力を含む。)を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること。 詳しくは有機農産物の日本農林規格

 

海外の有機認証

世界の有機認定ラベル

左:ドイツのNATURLAND認定ラベル 中央:アメリカのOCIA認定ラベル 右:日本のJAS有機認定ラベル

もともと険しい高地での農業を強いられたメキシコ・マヤの人たちは、伝統的に有機農法を行ってきましたが、ヨーロッパや北米の人たちの技術指導も加わり、高い水準のもとでコーヒーが作られています。メキシコをはじめ、わかちあいプロジェクトで扱っているグアテマラやペルーのコーヒー、ウバとダージリンの紅茶はドイツのNATURLAND やアメリカのOCIA(国際有機作物改良協会)、スイスのIMOなどの認定を受けています。タンザニアの場合は、Ecocertというドイツの機関が認定したものです。

タイ コーヒー生産者

国際機関から認定を受けるには、毎年の職員の派遣費用の負担など高くつくために、結果的に認定されたコーヒーと紅茶の量が少ないのが現状です。また化学肥料を使用する場合とくらべて、収穫高がどうしても少なく、堆肥作りに手間がかかることもあり割高になり、通常品の15-20%高です。

 

 

フェアトレードとオーガニック

有機栽培は、農薬や化学肥料を使用しないことで、私たち消費者にとって安心で安全な食べ物を提供するとともに、生産者や生産地域にとっても有益です。自然環境を守り、持続可能な生産を可能にするだけでなく、農薬が原因と思われる病気をなくすことにもつながり、健康改善にもなります。

国際フェアトレード認証の基準では、環境に配慮した持続可能な生産を基準項目の一つに上げていますが、そのほかに、生産者に有機栽培を奨励するためのルールを設けています。フェアトレード認証団体が、オーガニック認証製品を輸出する場合、より高い基準の「フェアトレード最低取引価格」が保証され、生産者の収入を向上させるイニシアチブとなっています。そのため、フェアトレード認証を取得した生産者が、フェアトレードにより得た利益や奨励金を活用して、オーガニック農法への切り替えを進めるケースを増えています。

(例)
アラビカコーヒー豆:
1ポンドあたり最低価格:1.35ドル → かつオーガニックの場合:+0.3ドル
大豆:
1トンあたり最低価格355ドル → かつオーガニックの場合:510ドル

 

わかちあいプロジェクトでは、FLOのネットワーク(コーヒーは248生産団体、紅茶は64茶園:2007年5月現在)の中からフェアトレード製品を輸入していますが、今後も日本へ上質の有機栽培コーヒー・紅茶を販売していきたいと思います。そ
のことは生産農家が、自信を持ち安心して有機農法に携われるようにサポートすることにもなります。

 

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