2015年度より、コーヒー生産で農民の経済的自立を目指す自立支援プロジェクトを、ミャンマー国カヤー州の2村を対象に実施しています。(独) 環境再生保全機構の「地球環境基金」により森林農法や有機農法の技術支援を、(公財)生協総合研究所の「アジア生協協力基金」により生産者組合の設立支援を行ってまいります。コーヒーの栽培指導のみならず、収穫したコーヒー豆を加工・商品化し、販売ルートを確立するまでの、包括的で長期的な支援です。

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2017年1月、アジア生協協力基金事業の「ミャンマー国カヤ州における森林農法、有機農法によるコーヒー栽培と森林保全~持続可能なコミュニティの構築」事業の業務調整・モニタリングのため、山本専門家とわかちあいプロジェクトの支援スタッフで、ミャンマーカヤー州の事業地を訪問しました。

まずはミャンマーのヤンゴンからカヤー州の州都ロイコーへ行き、現地コーディネーターのミャーさん、ティロさんと、スケジュール調整や今後の事業展開について打ち合わせをしました。事業2年目が終わりに近づき、ドービャク村とヤイブラ村のメンバーが今後も事業を続けたいかどうか、続けるならどういった支援を必要としているか、などを話し合い、アイデアを出してほしいことを伝えました。

次の日は支援地の一つ、ドービャク村へ行きました。事業に参加しているメンバーの方々と会い、ヒアリングを行いました。先の研修で行った栽培・収穫の技術は、今ではしっかりと身についていることが確認できました。

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メンバーが中心となって設立した、コーヒー生産者組合は十分機能していていることが確認できました。組合には、メンバー会費とコーヒーの販売によるプレミアムによる資金が集まっており、必要な人に2%の利子で貸し出されています。また、共同管理として作った苗場に水タンクを設置しました。以前は苗場の隅に穴を掘って、水を溜めていましたが、生育する苗木を2千本から4千本に増やしたことで、水を多量に溜めるタンクが必要になりました。そのため組合のメンバーで会議をして、タンク購入を決定しました。

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また、ミャンマー国内で活躍する社会企業家のコーヒーバイヤーが現地を訪問し、具体的な購入量を提示したことが、メンバーにとって良い刺激となっています。バイヤーと実際に会うことで、自分たちでどこにどう売るか考える事に、関心が出てきています。また、バイヤーは現地を視察して、「自分たちの生豆の品質を的確に把握せずに、どうやって妥当な価格を自分自身で知ることができるのか」という課題を提示しました。それを受けて、今年度の残りの予算を活用して、テイスティング用の焙煎機を新たに購入することとしました。カヤー州は現在海外からの注目が高まっており、欧米やヤンゴンからの観光客が増えています。そのため、メンバー自身が生豆を手元に残し、焙煎珈琲を提供するなど、複数の販売方法を持つことが農家にとっても良いと思います。今後は、マーケティングのトレーニングも視野に入れる予定です。

農家メンバーには、次回までにマーケティングの事前調査を行なってもらうこととしました。3~4人のグループで、週に2回、近くの市場に行き、お店で売っている野菜などを見て、①価格、②仕入れ元、③必要量、④購入回数などを調べてもらい、考えてみるようにしました。

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次の日は、もう一つの事業地ヤイブラ村へ行きました。依然として許可がないと外国人立ち入り禁止区域となっていますが、年々道路の拡張工事やインフラ整備が進み、ようやく電気も届くようになりました。とはいえ民族衣装を身に着けた女性もおり、ミャンマー国内でも珍しいようです。

早速メンバーに集まってもらい、隣州から招いたバイヤーからこれまでの経験などを話してもらいました。また、バイヤーからは、実際にコーヒーで生計を立てている農家や、農民組合が機能しているユワンガンに、メンバーで見にきてみては、と提案がありました。口頭で説明を聞くだけでなく、実際に行くことでさらに意欲が高まるだろうとの想いからの提案でした。そして苗場の状態をチェックしに行きましたが、順調に進んでおり、今年の収穫が待ち遠しいです。しかし依然として、安定的な収入を得られるようになるまでが大きな課題となっています。

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また、今年度からメンバーに5人の女性が加わりました。研修中、はじめは男性メンバーが中心となっていましたが、女性にも話すように促すと、積極的に参加しはじめ、事業を楽しんでいる様子がみられました。研修の途中で、通常世帯のお金の管理や意思決定はどのように行っているのか聞いてみたところ、基本的には女性が管理しているということでした。意思決定に女性の声が反映されているということで、安心しました。

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別の日には、リーダーとメンバーの1人を連れて、ドービャク村の隣村を訪問しました。ここでもコーヒーの木を庭先に植えていて、16人の村人が集まってくれました。ドービャク村のコーヒーの取り組みや、グループの役割、収穫の技術などをメンバーから伝えてもらいました。きちんと栽培・収穫・収穫後の処理を行うことで、価格が倍にもなり、現金収入になる、という話を、村の人々は熱心に聞いてくれました。

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事業開始から約2年が経とうとしていますが、栽培や収穫などの作業はしっかりと身についていて、あとは木の成長に合わせて収穫量が増えることを待つばかりです。組合としての組織面では、共有している機材の維持管理をはじめ、予算管理や支出の記録がきちんと残され、メンバー内で知識が共有されているので、組合の礎がしっかりと築かれていることが分かりました。あとはメンバーを力強く引っ張り、まとめていくようなリーダーシップの存在が求められています。今回、外部から招いたバイヤーの訪問は、農家メンバーにとってとても良い刺激になりました。

カヤー州の州都ロイコーでは、ちょうど州最大のイベント「カヤー・ステート・フェスティバル」が開催されていました。たくさんのお店が所狭しと並んでいます。

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国際機関や国内外のNGOの活動紹介なども行われていました。カヤー州で行われている活動一般を紹介するようなイベントで、村々からもたくさんの人々が参加し、ロイコーで暮らすミャーさんの自宅には、田舎から多くの親類が泊まりに集まっているそうです。来年はドービャク村とヤイブラ村のみんなにも出展してもらえるといいと思います!

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ミャンマー産Kayah Li Coffee (カヤ―リーコーヒー)