2016年6月、代表の松木が、わかちあいプロジェクトで支援しているタイと国境を接した山岳地帯のミャンマーカヤー州を訪問し、支援の状況をヒアリングしてきました。ミャンマーカヤー州では、学校が家から遠く、小学生の時から寮で生活する子どももいます。貧しい家庭の子どもたちは、学校に通い続けることができない場合もあることを聞き、わかちあいプロジェクトでは小中高校に通う子どもたちに奨学金を支給しています。
カヤー州の州都ライコウで、奨学金を支給している学生と父母との集まりに参加しました。
最初にそれぞれの自己紹介を行い、奨学金を直接学生へ授与しました。
最初に会場に入ってきたのは、Hay Buleさんとお母さん(写真右)でした。彼女は現在10年生(日本の高校2年生)ですが、昨年は病気で1年間学校を休まなければなりませんでした。彼女の利発な顔立ちと、お母さんの日焼けした働き者の農家の顔が、印象的でした。6人きょうだいで、お父さんはいません。お母さんの苦労が想像できます。彼女は薬剤師になりたいといっていました。自分の病気の体験から来ているのでしょう。彼女の希望が実現できるよう手助けしてあげたいと強く思いました。
上の写真の左側に立っているのは、Boe Rahさん、11年生で、高校の最高学年です。彼女は6人家族ですが、お父さんは病気のため、一人でタイ国境の難民キャンプにいるそうです。家の近くでは病院で治療を受けることができないため、難民キャンプで暮らし、治療を受けているのです。彼女もまた、希望を持つことができない困難を背負っています。彼女はいま学生寮で生活していますが、お母さんが、寮長さんに、娘が奨学金を受けて学校に行けるようにと、泣いて懇願されたそうです。
若者の希望を奪うミャンマーの教育制度
奨学金で支援している学生たちに会う前日、わかちあいプロジェクトの事業を請け負っている現地コーディネーターのリー・ミャーさんから、ある相談を受けました。高校の最高学年にあたる11年生で、卒業試験に合格できなかった学生の支援を今後どうするかということです。私は状況が分かりませんでしたので、詳しく尋ねました。
ミャンマーでは、11学年をパスして高校を卒業できるのは、何と50%に満たないということを知りました。ミャーさん自身も、11年生を1回で卒業できず2回やったそうです。そのため、卒業できなかった学生に2度支援をするのか、あるいは奨学金を必要としている新しい学生を支援するのかという、難しい選択があるのです。高校を卒業できず、前に進めない若者が巷にあふれている・・このエリート主義の教育制度を改革することが、ミャンマーにはまず必要です。
話し合いの結果、今回パスできなかった11年生の男の子を、切り捨てないで続けて支援することにしました。
この日、昼食をバプテスト教会が用意してくださいました。そのとき2人のお母さんが、私に向かって「あなたは神様のようだ」と言われました。つまりそれだけ、彼らにとって私たちが提供する奨学金がありがたいということです。どれだけ彼らが絶望的な状況の中にあるかが、よく理解できました。
引き続き、わたしたちの活動をご支援お願い申し上げます。
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